まぶたのかゆみの原因と治し方|カサカサ・赤みを解消する方法も解説

目次

まぶたのかゆみは、日常的な乾燥や刺激だけでなく、アレルギーや感染症など様々な原因で起こります。皮膚が薄くデリケートなまぶたは、わずかな刺激でも炎症を起こしやすく、放置すると悪化や慢性化につながることも少なくありません。

この記事では、まぶたのかゆみに悩む方へ以下のポイントをわかりやすく解説します。

◯本記事でわかること

・まぶたのかゆみを引き起こす病気と日常生活の要因

・突然のかゆみに役立つ緊急対処法と市販薬の選び方

・かゆみ以外の症状(赤み・カサカサ・できもの)が出た時の対応方法

・再発を防ぐためのスキンケア・生活習慣の見直しポイント

・悪化を招くNG行動とその回避法

・受診すべき病院の科目

症状の背景を正しく理解し、的確なケアと必要に応じた医療機関の受診で、早期回復と予防を目指しましょう。

つらいまぶたのかゆみ、考えられる原因は?

この章のまとめ!

まぶたのかゆみの原因は病気とそれ以外に分かれる。原因の特定が解決の第一歩。

まぶたのかゆみには、病気や日常的な要因が潜んでいます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

病気が原因の場合:放置は禁物!早めのケアを

特定の病気がまぶたのかゆみを引き起こすことがありますので、注意深く観察しましょう。放置すると症状が悪化したり、他の問題を引き起こしたりする恐れがあるためです。

原因となる病気と主な症状を整理しました。

原因となる病気 主な症状
アレルギー性結膜炎 目やまぶたのかゆみ、充血、目やに、涙、まぶたの腫れ(特に花粉症など季節性のもの)
接触皮膚炎(かぶれ) まぶたの赤み、かゆみ、ブツブツ、腫れ、ただれ(化粧品、薬剤、植物などが原因)
眼瞼炎(がんけんえん) まぶたの縁や内側のかゆみ、赤み、ただれ、フケのような付着物、まつげの脱毛、目やに
ものもらい(麦粒腫) まぶたの一部が赤く腫れる、かゆみ、痛み、ゴロゴロ感(細菌感染による)
ものもらい(霰粒腫) まぶたにしこりができる、軽い圧迫感、かゆみや痛みは少ないことが多い(マイボーム腺の詰まり)
アトピー性皮膚炎 目やまぶたの周りの強いかゆみ、赤み、乾燥、カサカサ、湿疹、皮膚が厚くなることも
ヘルペス性眼瞼炎 まぶたに小さな水ぶくれができる、ピリピリとした痛み、かゆみ、赤み(ウイルス感染)

これらの症状が見られる場合は、自己判断せずに専門医(皮膚科または眼科)の診察を受けるようにしましょう。

病気以外の原因:日常生活に潜むかゆみの種

日常生活の中にも、まぶたのかゆみを誘発する要因は数多く潜んでいます。無意識の行動や環境が、デリケートなまぶたに影響を与えるからです。

例えば、空気の乾燥は肌のバリア機能を低下させ、かゆみを引き起こします。また、合わない化粧品の使用や、目をこする癖も直接的な刺激となります。睡眠不足やストレスといった生活習慣の乱れも、肌の状態を悪化させる一因となるでしょう。

このように、身近な生活習慣を見直すことで、かゆみの予防につながるのです。

今すぐできる!まぶたのかゆみの応急処置

この章のまとめ! かゆみにはまず冷却を。市販薬を使用する場合は、薬剤師に相談する。

我慢できないまぶたのかゆみには、まず「冷やす」という応急処置を試みましょう。冷やすことで血管が収縮し、炎症やかゆみが一時的に和らぐ効果が期待できるからです。清潔な濡れタオルや、タオルで包んだ保冷剤をまぶたに優しく当てるのが一つの方法です。

ただし、掻きむしるのは絶対に避けましょう。花粉などが原因と思われるときは、人工涙液でそっと洗い流すのも良いでしょう。これらの応急処置は、あくまで一時的なものですから、症状が続くなら専門医の診察を受けてください。

市販薬の上手な選び方と使い方(薬剤師に相談を推奨)

まぶたのかゆみに市販薬を使用する際は、症状に合ったものを選ぶことが肝要です。まぶたは非常にデリケートな部位であり、誤った薬剤の使用は症状を悪化させるリスクを伴うためです。

アレルギーが原因なら抗ヒスタミン成分配合の目薬、炎症には抗炎症成分入りの目薬や軟膏があります。乾燥による肌のカサつきが伴う場合、保湿成分が配合されたものが適しています。自己判断に頼らず、薬剤師など専門家に相談のうえ、正しい市販薬を選び、使用しましょう。

かゆみ以外の症状が伴う場合の対処法

この章のまとめ! かゆみ以外の症状には要注意。赤み、カサカサ、ニキビ様のできもの、それぞれ対処が異なる。

かゆみに加えて赤みやカサカサが伴ったり、ニキビのようなものが出たりした時の対処法について解説します。

赤みや腫れが伴う場合

まぶたにかゆみと赤み、あるいは腫れが見られる際は、炎症が起きていると考えられます。接触皮膚炎やアレルギー性結膜炎、眼瞼炎など、何らかの炎症性疾患が原因となっている可能性が高いからです。

まず、患部を冷やして炎症を鎮静化させましょう。さらに、原因と思われる化粧品の使用はすぐに中止してください。

症状が強い、または改善が見られないときは、自己判断せずに皮膚科か眼科を受診するのが賢明です。早めの対処と専門医への相談が、症状の悪化を防ぎ、早期回復につながります。

カサカサが伴う場合

まぶたのかゆみと共にカサカサとした乾燥が目立つのであれば、徹底した保湿ケアが求められます。皮膚のバリア機能が低下し、外部からの刺激を受けやすくなっている状態だからです。低刺激で高保湿な化粧水、乳液、アイクリームなどを使い、優しく丁寧に保湿してください。セラミドやヘパリン類似物質配合の製品が良いでしょう。

加湿器で室内の湿度を保つことも有効です。それでも改善しないときは皮膚科医に相談しましょう。正しい保湿ケアを継続することで、まぶたの潤いを取り戻し、かゆみを和らげることができます。

ニキビのようなものができた場合(ものもらい等)

まぶたにニキビのような赤いものができ、かゆみを伴うのであれば、多くは「ものもらい」が疑われます。細菌感染による炎症(麦粒腫)や、皮脂腺の詰まり(霰粒腫)が主な原因と考えられるからです。自分で潰そうとせず、清潔に保つことが第一です。コンタクトレンズの使用やアイメイクは控えましょう。

抗菌目薬が有効なこともありますが、稗粒腫(目の周りなどにできる1~2mmほどのブツブツ)など他の可能性も否定できませんので、眼科を受診し正しい診断を受けることが大切です。自己判断は避け、眼科医の指示に従い、適切な治療を行うことで、確実に治癒を目指しましょう。

まぶたにかぶれが起きた場合

まぶたのかぶれは、原因物質の特定と除去、そして適切なケアで改善を目指せるトラブルです。まず、原因と思われる化粧品などの使用を中止し、清潔な濡れタオルで優しく冷やし炎症を抑えましょう。その後、低刺激の保湿剤で肌を保護します。

これらのセルフケアで軽快しない、あるいは症状が重いと感じるなら、速やかに医療機関を受診してください。専門医による的確な診断と指示のもと、適切な治療を受けることが、早期回復への近道となるでしょう。

まぶたのかゆみの根本対策と予防法

この章のまとめ! スキンケアと生活習慣の改善が大切。再発防止の鍵となる。

まぶたのかゆみを繰り返さないためには、日々のケアと生活習慣の見直しが欠かせません。ここでは、具体的な対策と予防方法を紹介します。

正しいスキンケア方法

まぶたの健康を保つには、日々の正しいスキンケアが基本となります。不適切なケアは乾燥や刺激を招き、かゆみやカサカサの原因になるからです。

クレンジングは低刺激性のものを選び、優しく洗いましょう。洗顔後は化粧水やアイクリームでしっかり保湿します。特に、まぶたのかゆみとともにカサカサでお悩みの方は、セラミド配合などの高保湿アイテムが良いでしょう。デリケートなまぶたを守るために、丁寧なスキンケアを心がけることが大切です。

生活習慣の見直し

まぶたのかゆみを防ぐには、健康的な生活習慣を確立することも大切です。体の内側からのケアが、皮膚のバリア機能や免疫力に影響を与えると考えられるからです。バランスの取れた食事、十分な睡眠は肌の健康の基本です。花粉やハウスダストなどのアレルゲン対策も意識しましょう。

また、コンタクトレンズは常に清潔さを心がけ、紫外線対策も忘れずに行うことが望ましいです。ストレスを溜めない工夫も取り入れてみてください。このように、生活全般を見直すことが、まぶたのかゆみ予防に繋がると言えるでしょう。

まぶたのかゆみを悪化させるNG行動

この章のまとめ! 掻く、温める、ゴシゴシ洗いは厳禁。悪化させる行動を避けることが改善への近道。

まぶたのかゆみを悪化させないためには、いくつかのNG行動を避けることが肝心です。これらの行動はデリケートなまぶたにさらなる刺激を与え、炎症を助長したり、バリア機能を低下させたりする可能性があるからです。

以下にNG行動をまとめましたので、留意しながら日常生活を送るようにしてください。

・掻きむしる

・温める(炎症時)

・ゴシゴシ洗う・熱いお湯で洗う

・洗浄力の強いクレンジング剤や洗顔料の使用

・合わない化粧品やアイケア製品を使い続ける

・頻繁なアイメイクや濃いアイメイク

・目をこする

・汚れた手で触る

皮膚科と眼科、どちらを受診するべき?

この章のまとめ! セルフケアで改善しなければ迷わず専門医を受診。皮膚科か眼科、症状に応じて選択する。

まぶたのかゆみは、原因によって適切な治療法が大きく異なります。細菌やウイルスによる感染症、アレルギー反応、慢性的な炎症、乾燥によるバリア機能低下など、症状の背景を正確に見極めることが治療の第一歩です。

治療は皮膚科・眼科のどちらでも受けられますが、皮膚の炎症やかぶれが中心なら皮膚科、目の充血や目やになど眼球に関わる症状が強ければ眼科が適しています。いずれの場合も、早めに専門医を受診することで症状の悪化や慢性化を防ぎ、よりスムーズな回復が期待できます。

病院で受けられる一般的な検査・治療

専門医を受診すると、症状や原因に応じた様々な検査や治療を受けることができます。正確な診断に基づいた適切な治療こそ、早期回復への最も確実な道筋だからです。

治療内容と適応症状を整理しました。

治療内容 適応となる主な症状・疾患
外用薬(塗り薬) アトピー性皮膚炎、接触皮膚炎、眼瞼炎など
内服薬(飲み薬) アレルギー性結膜炎、アトピー、慢性炎症など
点眼薬(目薬) アレルギー性結膜炎、ものもらい初期など
抗菌治療 ものもらい(麦粒腫)、ヘルペス性眼瞼炎など
面皰圧出・切開処置 霰粒腫、重症のものもらい、稗粒腫など
生活指導・スキンケア指導 すべての症状に共通

まぶたのかゆみに関するよくある質問

ここでは、まぶたのかゆみに関してよく寄せられる質問にお答えします。

Q1. 夜になると、まぶたのかゆみが特にひどくなるのはなぜですか?どうすれば良いでしょう?

A. 夜間は体温上昇やリラックスによりかゆみを感じやすくなることがあります。また、日中の刺激や乾燥の影響も考えられます。対策として、就寝前の低刺激保湿剤でのケア、寝室の湿度調整、爪を短く切ることが挙げられます。つらいかゆみが続くなら専門医に相談しましょう。

Q2. まぶたのかゆみにワセリンを使っても大丈夫ですか?注意点はありますか?

A. ワセリンは乾燥からの保護・保湿に役立ちますが、炎症を抑える成分は含みません。炎症を伴うかゆみの場合、悪化する可能性もあるので注意が必要です。使用する際は清潔な指でごく少量を薄く塗り、赤みや腫れが悪化すれば使用を中止し、医師の診察を受けてください。

Q3. 子供のまぶたがかゆそうです。市販薬を使っても平気でしょうか?大人と違うケアが必要ですか?

A. お子様のまぶたのかゆみは、皮膚が非常にデリケートなため慎重な対応してください。アトピー性皮膚炎やアレルギーの可能性も考えられます。市販薬の使用は薬剤師に相談し、できれば小児科や皮膚科を受診して原因を特定してもらうのが安心です。また、掻き壊しを防ぐため爪は短く保ちましょう。

Q4. 最近ストレスが多いせいか、まぶたがかゆくなる気がします。関係ありますか?

A. ストレスや過労は、免疫機能や皮膚のバリア機能に影響し、まぶたのかゆみを引き起こしたり悪化させたりする可能性があります。十分な睡眠を取り、リラックスできる時間を作るなど、ストレスを上手にコントロールすることも、まぶたの健康には大切です。

Q5.市販薬を使ってもなかなか治りません。どれくらい様子を見て病院に行くべきでしょうか?

A. 市販薬を2~3日程度使用しても改善しない、または悪化するようであれば医療機関を受診してください。かゆみが非常に強い、範囲が広がる、腫れや痛みを伴う、日常生活に支障が出る場合も早めに専門医へ相談することが肝心です。

まとめ

この記事では、つらいまぶたのかゆみの様々な原因から、今すぐできる応急処置、根本的な改善を目指すためのスキンケアや生活習慣の見直しまで、幅広く解説してきました。また、やってはいけないNG行動、専門医に相談するタイミングについても触れました。

まぶたのかゆみは、多くの方が経験する身近な悩みですが、その原因は一つではありません。

だからこそ、ご自身の症状を正しく理解し、適切なケアを行うことが何よりも大切です。セルフケアで対応できることもありますが、症状が長引いたり、悪化したりするようであれば、決して自己判断で抱え込まず、早めに皮膚科や眼科を受診しましょう。

この記事で得た知識が、あなたのまぶたの悩みを解消し、快適な毎日を取り戻すための一助となれば幸いです。諦めずに、今日からできることから始めてみましょう。

簗 由一郎 先生
医師簗 由一郎

高知大学医学部を卒業後、東京大学形成外科教室にて研鑽を積む。
専門は形成外科領域全般に加え、眼瞼下垂、目の下のたるみ(クマ)、巻き爪・陥入爪、リンパ浮腫治療。現在は埼玉医科大学病院をはじめ、東京・埼玉・茨城の複数医療機関にて診療を行うかたわら、サイト運営を通じて専門的かつ信頼性の高い医療情報の発信にも尽力している。

巻き爪・陥入爪治療の相談室
まぶた・目の下のたるみのお悩み相談室

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