足がつった後も続くふくらはぎの痛み|長引く原因と正しい対処法

目次

足がつった後も続くふくらはぎの痛みは、こむら返りの際に筋繊維が傷ついた「肉離れに近い状態」が主な原因です。痛みが長引く時は、適切な応急処置とセルフケアを行い、症状によっては医療機関を受診することが大切です。

無理なマッサージやストレッチは、かえって症状を悪化させる危険性があるため注意しましょう。

【この記事でわかること】

・足がつった後、痛みが続く具体的な原因

・痛みの段階に応じた正しい応急処置とセルフケア

・病院へ行くべき危険な症状のサインと受診する診療科

・つらい痛みを繰り返さないための具体的な予防習慣

足がつった後、ふくらはぎの痛みが続く主な原因

【この章のまとめ!】足がつった後の長引く痛みは、筋肉が受けた微細な損傷が主な原因です。血行不良や栄養不足が回復を遅らせる要因にもなるため、体の内側と外側からの両面で原因を理解することが重要です。

足がつっただけの痛みと侮ってはいけません。痛みが長引くのには、筋肉の損傷や体内のコンディションが関係しています。ここでは、考えられる3つの主な原因について詳しく見ていきましょう。

原因1:筋肉の微細な損傷(肉離れとの違い)

こむら返りは、筋肉が異常に強く収縮する現象です。この急激な収縮によって、ふくらはぎの筋繊維が部分的に断裂したり、炎症を起こしたりします。これが、足がつった後も続く痛みの正体です。

軽度の肉離れと似た状態であり、一般的な筋肉痛よりも痛みが長引きやすい特徴があります。重症度は異なりますが、どちらも筋肉の損傷という点では共通しています。

項目 こむら返り後の痛み 軽度の肉離れ
受傷時の感覚 筋肉が硬直する、つる 筋肉が軽く伸びる、違和感
痛み ジンジン、重だるい痛み 押すと痛む、動かすと痛む
内出血 ほとんどない ない、または軽度
歩行 可能だが違和感 可能

原因2:血行不良による酸欠と疲労物質の蓄積

デスクワークや立ち仕事で長時間同じ姿勢を続けると、ふくらはぎの血行が悪くなります。血流が滞ると、筋肉の回復に必要な酸素や栄養素が届きにくくなり、同時に乳酸などの疲労物質が溜まってしまいます。

この状態では、一度傷ついた筋繊維の修復が遅れてしまい、痛みがなかなか改善しない原因となります。特に体の冷えは血管を収縮させるため、血行不良をさらに助長します。

原因3:ミネラル不足や水分不足

筋肉が正常に収縮・弛緩するためには、カルシウム、マグネシウム、カリウムといったミネラルが重要な役割を果たします。汗をかいて水分と共にこれらのミネラルが失われたり、食生活の乱れで摂取量が不足したりすると、筋肉のバランスが崩れて足がつりやすくなります。

この栄養不足の状態は、筋肉の回復力も低下させるため、一度つった後の痛みが長引く一因となるのです。

痛みがつらい時に。状況別の応急処置とセルフケア

【この章のまとめ!】痛みが始まった直後は「冷やす」、痛みが和らいだら「温める」が基本です。痛みの段階に応じて適切な処置を選択し、無理なマッサージなど悪化させる行動は避けましょう。

つらい痛みを少しでも早く和らげるには、正しい知識に基づくセルフケアが不可欠です。症状の段階に合わせて適切な処置を行い、回復を促しましょう。ここでは、具体的な方法と注意点を解説します。

【発症直後〜2、3日】炎症を抑える「RICE処置」が基本

痛みが最も強い発症直後は、患部が炎症を起こしている可能性があります。この段階では、応急処置の基本である「RICE処置」を実践しましょう。炎症を抑え、痛みや腫れを軽減させる効果が期待できます。無理に動かしたり、温めたりするのは逆効果なので避けてください。

・Rest(安静): 痛む足を使わず、楽な姿勢で休む。

・Ice(冷却): 氷嚢などをタオルで包み、15〜20分冷やす。

・Compression(圧迫): 弾性包帯などで軽く圧迫し、内出血や腫れを防ぐ。

・Elevation(挙上): 足を心臓より高い位置に保ち、腫れを和らげる。

【痛みが少し和らいだら】温めて血行を促進

ズキズキとした鋭い痛みが治まり、重だるい痛みに変わってきたら、今度は温めて血行を促進させましょう。目安としては、発症から2〜3日後です。

38〜40℃程度のぬるめのお湯でゆっくり入浴したり、蒸しタオルを当てたりするのがおすすめです。血流が良くなることで、筋肉の回復に必要な栄養素が行き渡りやすくなり、硬くなった筋肉もほぐれて痛みの改善につながります。

痛みを悪化させないための注意点

良かれと思ってやったケアが、かえって回復を遅らせることがあります。特に痛みが強い急性期には、ふくらはぎを強く揉んだり、無理にストレッチしたりするのは絶対にやめましょう。傷ついた筋繊維をさらに損傷させ、炎症を悪化させる危険性があります。

痛みを我慢しての長時間の歩行や運動も同様です。回復には安静が第一であることを忘れないでください。

【やってはいけないことリスト】

・痛みが強い時期の自己流マッサージ

・無理なストレッチ

・急性期の入浴や飲酒

・痛みを我慢しての運動や長時間の歩行

☝️簗先生から一言アドバイス!痛みの種類で見極めましょう。ズキズキと脈打つような痛みや熱っぽさがあるなら「炎症」のサインなので冷やしてください。ジンワリとした重い痛みやこわばりには「血行促進」が有効なので温めるのがおすすめです。判断に迷う際は、まず冷やしてみて痛みが増すようなら中止してください。

その痛み、放置は危険?病院を受診すべき症状

【この章のまとめ!】歩けないほどの激痛や、片足だけの異常な腫れは危険なサインです。これらの症状が見られる時は、速やかに整形外科や血管外科を受診してください。

セルフケアで様子を見てもよい痛みと、すぐに受診すべき痛みには明確な違いがあります。もし以下のリストに一つでも当てはまる症状があれば、自己判断で様子を見るのはやめて、速やかに医療機関を受診してください。特に片足だけの急激な腫れや変色は、緊急を要する血栓症のサインかもしれません。

【危険な症状セルフチェックリスト】

・歩けないほど、または安静にしていても激しく痛む

・片足だけがパンパンに腫れ、赤紫色や蒼白になっている

・ふくらはぎにしびれ、麻痺、力が入らない感覚がある

・触ってみて、明らかにへこんでいたり、硬いしこりがあったりする

・ふくらはぎが熱をもち、腫れがひどくなる一方だ

何科を受診すればいい?症状別の診療科ガイド

どの診療科へ行けばいいか迷った時は、症状を基準に判断しましょう。最も一般的なのは、筋肉や骨、神経を専門とする整形外科です。しかし、足の腫れや色の変化が顕著な場合は、血管の専門家である血管外科や循環器内科が適しています。

まずはかかりつけの内科医に相談し、適切な専門科を紹介してもらうのも一つの方法です。

症状 疑われる病気 推奨される診療科
筋肉の痛み、しびれ、歩行時の痛み 肉離れ、坐骨神経痛 整形外科
片足の急な腫れ、痛み、色の変化 深部静脈血栓症 血管外科、循環器内科
歩くと痛み、休むと和らぐ 閉塞性動脈硬化症 血管外科、循環器内科
原因が不明、全身の不調もある 内科系疾患 内科

もう繰り返さない!ふくらはぎの痛みを予防する3つの習慣

【この章のまとめ!】日々の水分・ミネラル補給、体を冷やさない工夫、そして就寝前のストレッチが予防の三本柱です。継続的なセルフケアで、足がつりにくい体作りを目指しましょう。

一度経験したつらい痛みを繰り返さないためには、日々の生活習慣を見直すことが最も効果的です。ここでは、今日から始められる具体的な3つの予防策をご紹介します。

習慣1:こまめな水分・ミネラル補給

筋肉の健康を保つには、十分な水分とミネラルが欠かせません。1日に1.5リットル程度の水を、一度にがぶ飲みするのではなく、こまめに分けて飲むことを意識しましょう。

食事では、筋肉の働きを調整するマグネシウム(海藻、ナッツ類)やカリウム(バナナ、ほうれん草)、そして骨や筋肉の材料となるカルシウム(乳製品、小魚)をバランス良く摂取することが大切です。

習慣2:体を冷やさない工夫

体の冷えは血行不良を招き、筋肉を硬直させる大きな原因です。夏場の冷房や冬の寒さから体を守りましょう。シャワーだけで済ませず、ぬるめのお湯にゆっくり浸かる習慣は、全身の血行を促進しリラックス効果も高いため特におすすめです。

オフィスでのデスクワーク中や就寝時には、レッグウォーマーやブランケットを活用して、ふくらはぎを直接冷やさないようにしましょう。

習慣3:無理のないストレッチ

硬くなった筋肉をほぐし、柔軟性を保つことは予防の基本です。特に、筋肉がリラックスしている入浴後や就寝前に行うのが効果的です。壁に手をついてアキレス腱を伸ばしたり、タオルを足裏に引っかけてゆっくりふくらはぎを伸ばしたりするストレッチを習慣にしましょう。

大切なのは、反動をつけず「痛気持ちいい」と感じる範囲で30秒ほど静止することです。

☝️簗先生から一言アドバイス!寝る前のストレッチは特に有効です。体がリラックスしている状態で、ゆっくり呼吸しながら各種目30秒ずつ行いましょう。ポイントは「痛気持ちいい」と感じる範囲で止めること。強い痛みを感じるほど伸ばすのは、筋肉を傷つける原因になるので禁物です。

【年代・ライフスタイル別】ふくらはぎの痛みの注意点とケア

【この章のまとめ!】痛みの原因やリスクは、年代や生活習慣によって異なります。ご自身のライフスタイルに合わせたセルフケアを意識することで、より効果的な対策が可能です。

誰にでも起こりうるふくらはぎの痛みですが、その背景は人それぞれです。あなたの生活に潜むリスクを理解し、よりパーソナライズされたケアを実践しましょう。

働き盛りの方(デスクワーク・立ち仕事)

長時間の同じ姿勢は、ふくらはぎのポンプ機能を低下させ、深刻な血行不良を招きます。これが痛みの原因や回復の遅れに直結します。

対策として、最低でも1時間に1回は立ち上がり、その場で足踏みをしたり、アキレス腱を伸ばしたりする意識を持ちましょう。デスクの下で足首を回す、つま先を上げ下げするだけでも効果があります。意識的に体を動かすことが重要です。

運動習慣がある方

運動習慣がある方は、トレーニング前後のケアが不足している可能性があります。特にウォーミングアップ不足は筋肉が驚いてしまい、つりやすくなる原因です。

また、運動後のクールダウンを怠ると、疲労物質が溜まり、筋肉の損傷につながります。ランニングなどの後には、念入りにふくらはぎのストレッチを行いましょう。運動強度に見合った十分なケアをセットで行うことが大切です。

妊娠中・産後の方

妊娠中は、お腹が大きくなることによる体重増加や骨盤の変化で、足への負担が増大します。また、ホルモンバランスの変化や、胎児へ栄養が優先されることによるミネラル不足も、足がつりやすくなる一因です。

基本的なケアは同じですが、使用できる湿布や薬が限られるため、まずはかかりつけの産婦人科医に相談してください。自己判断での薬の使用は絶対に避けましょう。

ご高齢の方

加齢に伴う筋肉量の自然な減少は、足がつりやすくなる大きな要因です。また、高血圧や糖尿病といった持病が血行不良を招くことも少なくありません。

予防には、無理のない範囲での散歩や、椅子に座って行う「かかとの上げ下ろし運動」などがおすすめです。筋力低下は転倒のリスクにもつながるため、日頃から意識して足を動かす習慣を持つことが健康寿命を延ばすことにもつながります。

ふくらはぎの痛みに関するよくある質問

【この章のまとめ!】ふくらはぎの痛みに関するよくある疑問に答えます。湿布の使い分けや市販薬の選び方など、具体的な対処法を知ることで、セルフケアの質を高めることができます。

ここでは、患者さんからよく寄せられる質問とその回答をまとめました。あなたの疑問や不安の解消に役立ててください。

Q1.ふくらはぎを押すと痛いのはなぜですか?

A. 筋肉の炎症や、こむら返りによって生じた微細な損傷が原因と考えられます。圧痛は、筋肉がダメージを受けているサインの一つです。痛みが強いにもかかわらず、無理に押し続けたり強く揉んだりすると、炎症が悪化して回復が遅れる可能性があります。症状が強い初期段階では、押して確認する行為は控え、まずは安静と冷却を優先するようにしてください。

Q2.痛い時は湿布を貼ってもいいですか?温湿布と冷湿布どちらがいいですか?

A. 湿布の使用は痛みの緩和に有効です。使い分けの目安は、痛みの性質です。ズキズキと痛み、熱を持っているような急性期には、炎症を抑える「冷湿布」を選びましょう。一方、鈍い痛みが続く慢性期や、筋肉のこわばりを感じる際には、血行を促進する「温湿布」が適しています。どちらを使うか迷った時は、まずは冷湿布を試してみるのが安全な選択です。

Q3.痛みに効く市販の飲み薬はありますか?

A. 痛みが強い時には、炎症を抑え痛みを和らげる「ロキソプロフェン」や「イブプロフェン」を配合した鎮痛薬が選択肢になります。また、こむら返りを繰り返しやすい体質の改善には、漢方薬の「芍薬甘草湯」も有効です。ただし、これらの薬を5〜6日間使用しても症状が全く改善しない、あるいは悪化する際には、使用を中止して必ず医療機関を受診してください。

Q4.妊娠中に足がつりやすく、痛みが残ります。どうすればいいですか?

A. 妊娠中の足のつりやその後の痛みは、多くの妊婦さんが経験する症状です。体重増加による足への負担や、栄養バランスの変化が主な原因です。基本的な対処法(安静、ストレッチ、水分補給)は同じですが、安易な市販薬や湿布の使用は避けるべきです。まずは安全を第一に考え、かかりつけの産婦人科医に相談し、適切なアドバイスを受けるようにしてください。

まとめ:長引くふくらはぎの痛みに正しく対処し、不安な日々を解消しましょう

足がつった後の痛みが長引くのは、筋肉が傷ついているサインです。まずは慌てずに「急性期は冷やす」「慢性期は温める」という基本の対処を実践しましょう。

そして、痛みが数日経っても改善しない、または歩けないほどの激痛や異常な腫れといった危険なサインが見られたら、迷わず医療機関を受診してください。日々の予防習慣を取り入れることで、つらい痛みを繰り返さない、健康な体作りを目指すことができます。

【この記事のポイント】

・長引く痛みの原因は、主に筋繊維の損傷。

・対処は「発症直後は冷却」「痛みが和らいだら温める」が鉄則。

・「激痛」「片足だけの異常な腫れ」「しびれ」は受診のサイン。

・予防には「水分・ミネラル補給」「体を冷やさない」「ストレッチ」が有効。

・不安な症状があれば、整形外科や血管外科など専門医へ相談する。

簗 由一郎 先生
医師簗 由一郎

高知大学医学部を卒業後、東京大学形成外科教室にて研鑽を積む。
専門は形成外科領域全般に加え、眼瞼下垂、目の下のたるみ(クマ)、巻き爪・陥入爪、リンパ浮腫治療。現在は埼玉医科大学病院をはじめ、東京・埼玉・茨城の複数医療機関にて診療を行うかたわら、サイト運営を通じて専門的かつ信頼性の高い医療情報の発信にも尽力している。

巻き爪・陥入爪治療の相談室
まぶた・目の下のたるみのお悩み相談室

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