PMDDとは?症状、診断、治療法について

目次

PMDDの概要

月経前不快気分障害(PMDD)は、月経前に現れる精神的・身体的症状により、日常生活に支障をきたす疾患です。

以下では、PMDDの定義、有病率、症状が現れる時期について詳しく解説します。

月経前不快気分障害の定義

月経前不快気分障害(PMDD)とは、月経前の特定の時期に、気分の落ち込みやイライラ、不安などの精神症状や、身体的不調が現れる疾患のことを指します。これらの症状は月経開始とともに改善しますが、月経前には日常生活に大きな支障をきたすほど重症化するのが特徴です。

PMDDの有病率

PMDDの有病率は、地域や診断基準によって異なりますが、一般的に女性の3〜8%程度と言われています。多くの女性が月経前に何らかの不調を感じることがありますが、そのうちPMDDの診断基準を満たすほど重症な症状を呈する女性は一定の割合で存在すると考えられています。

症状が現れる時期

PMDDの症状は、月経開始の1〜2週間前から現れ始め、月経開始とともに急速に改善するのが特徴です。この症状が現れる時期は黄体期と呼ばれ、排卵から次の月経開始までの期間に相当します。PMDDでは、この黄体期に特有の症状が繰り返し現れることで、月経周期に伴う症状の周期性が確認されます。

PMDDとPMSの違い

PMDDはPMS(月経前症候群)と混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。PMSは月経前に現れる身体的・精神的症状の総称であり、多くの女性が経験する比較的軽度の不調を指します。

一方、PMDDはPMSの中でも特に重症な症状を呈する病態であり、日常生活に支障をきたす可能性があります。

PMDDの主な症状

PMDDの症状は多岐にわたりますが、主に気分の変動や抑うつ、イライラや不安の増大、身体的不調が挙げられます。以下では、それぞれの症状について詳しく見ていきましょう。

気分の変動と抑うつ

PMDDでは、急激な気分の変動や抑うつ症状が特徴的に見られます。感情が不安定になり、突然涙もろくなったり、悲しみや絶望感に襲われたりすることがあります。自己評価の低下や、興味や喜びの喪失も伴うことがあります。

イライラや不安の増大

気分の落ち込みと同時に、イライラや怒りっぽさ、不安感が増大するのもPMDDの特徴です。些細なことでカッとなったり、緊張感が高まって落ち着かない状態が続いたりします。そんな状態が長引くと対人関係のトラブルに発展することもあるでしょう。

身体的不調

PMDDでは精神症状だけでなく、身体的な不調も伴います。むくみや乳房の張り、頭痛、関節痛などが代表的な症状です。疲労感が強まり、食欲の変化や睡眠の問題を抱えることも少なくありません。

「PMDDかも…」と判断する要素

PMDDかも…と判断する要素は、主に3つにあると言えます。以下では、それぞれの要素について解説します。

症状の周期性

PMDDの診断には、症状が月経周期に伴って繰り返し現れることを確認する必要があります。少なくとも2周期以上にわたって、月経前の黄体期に症状が出現し、月経開始とともに改善するという周期性が認められることが重要です。

症状の重症度

PMDDは単なる月経前の不調ではなく、日常生活に支障をきたすほどの症状を呈することが特徴です。症状が著しく、仕事や学業、対人関係などに深刻な影響を及ぼしていることを診断の目安とします。

他の疾患との判別

PMDDの症状は、うつ病や不安障害など他の精神疾患と類似している場合があります。したがって、PMDDの診断には、これらの疾患を適切に判別することが不可欠です。症状の周期性や月経との関連性があるかどうかを見極めます。

PMDDで受診する目安

PMDDの症状が日常生活に大きな支障をきたすようになったら、専門医への受診を検討しましょう。例えば、月経前の気分の落ち込みやイライラが極度に強くなり、仕事や学業のパフォーマンスが著しく低下している場合は、医療機関を受診するタイミングと言えるでしょう。

また、PMDDの症状によって、家族や友人、恋人などとの人間関係が悪化し、大切な関係が損なわれる懸念がある場合も、専門医に相談することをおすすめします。

PMDDは人によって症状の程度が異なりますが、早めに医療機関を受診し適切な治療を行いましょう。

PMDDの治療法

PMDDの治療には、ホルモン療法や抗うつ薬の使用、認知行動療法、セルフケアなど、様々なアプローチが用いられます。以下では、それぞれの治療法について詳しく解説します。

ホルモン療法

PMDDの症状は、ホルモンバランスの変化と関連していると考えられています。そのため、ホルモン療法は有効な治療選択肢の一つとなります。低用量ピルの使用により、ホルモンの変動を抑えることで症状の改善が期待できるでしょう。

抗うつ薬の使用

PMDDの精神症状に対しては、SSRIなどの抗うつ薬が用いられることがあります。月経前の一定期間のみ服用する間欠的な投与法も選択肢の一つです。抗うつ薬の使用は、気分の安定化に寄与すると考えられています。

認知行動療法

認知行動療法は、PMDDの症状に対処するための心理療法の一つです。月経前の症状への理解を深め、ネガティブな思考パターンを修正することで、気分の改善を目指します。

セルフケアとストレス管理

PMDDの症状は、ストレスによって悪化することが知られています。したがって、日常的なセルフケアとストレス管理は、症状のコントロールに欠かせません。

まとめ

PMDDは、月経前に現れる精神的・身体的症状により、日常生活に大きな影響を及ぼす疾患です。PMSとは異なり、重症度が高く日常生活の支障が診断の必須条件となります。気分の変動や抑うつ、イライラなどの精神症状に加え、身体的不調も特徴的に見られるでしょう。

PMDDの診断には、症状の周期性や重症度、他の疾患との鑑別が重要です。治療には、ホルモン療法や抗うつ薬、認知行動療法、セルフケアなど、様々あります。

PMDDは、女性のQOLを大きく損なう疾患ですが、適切な治療とセルフケアにより、症状の緩和が可能です。月経前の不調に悩む女性は、早めに専門家に相談し、治療を受けましょう。

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