発熱は何度から?風邪以外の原因や症状への対処法を解説

目次

感染症法では、37.5℃以上を「発熱」と定義しています。ただし、平熱には個人差があるため、平熱より1℃以上高い場合は発熱と考えてよいでしょう。

本記事では、発熱の目安をはじめ、適切な体温の測り方や、風邪以外で発熱が起きる原因について解説します。さらに、発熱時に自宅でできる対処法や、医療機関を受診すべきタイミングもお伝えしますので、参考にしてください。

発熱は何度から?

感染症法では、体温が37.5℃以上ある状態を「発熱」、38.0℃以上を「高熱」と定義しています。

ただし、この数字はあくまでひとつの目安です。人の平熱は個人差が大きく、また年齢によっても変わります。たとえば、お子さんの体温は成人に比べて0.5℃から0.6℃ほど高い傾向があり、高齢になると逆に低くなることが一般的です。

そのため、自身の平熱を把握しておけば、発熱しているかどうかを判断しやすくなります。平熱よりも1℃以上高い状態が続くようであれば、発熱していると考えてよいでしょう。

参考:感染症法

正しく熱を測るポイント

体温は測り方によって、変動するものです。発熱しているかどうかを正確に判断するためには、適切な方法で体温を測る必要があります。

正しく熱を測るポイントは、以下のとおりです。

  • 毎回同じ部位で測る
  • 体温計を肌や粘膜に密着させる
  • 安静な状態で測る

それぞれのポイントについて、見ていきましょう。

毎回同じ部位で測る

体温を測るときは、体の部位によって体温が変わるため、毎回同じ場所で測ることが大切です。一般的には、わきの下・額・耳・口腔内のいずれかが用いられます。

わきの下は外部の影響を受けにくい一方で、測定にやや時間がかかる部位です。額に用いる非接触型体温計は、短時間で測れて衛生的ですが、気温の変化に左右されやすいという弱点があります。

耳で測る方法は、鼓膜の温度を利用して体温を読み取るタイプで、お子さんの検温によく使われている測定法です。口腔内は体温が比較的安定しやすいため、小数点第2位まで測定する女性の基礎体温の計測に適した部位とされています。

体温計を肌や粘膜に密着させる

わきの下や口の中で測る接触式の体温計を使う場合は、先端の感温部を肌や粘膜にしっかりと密着させることを心がけましょう。

わきの下で測定する場合の手順は、以下のとおりです。

  1. 腕を上げ、体温計を約30度の角度で下から押し上げる
  2. 測温部の先端を、わきのくぼみ中央に正確に当てる
  3. わきをしっかり閉じ、体温計がずれないよう固定する
  4. 手のひらを上に向け、反対の手で腕を押さえ密着を保つ

また、口の中で測る場合は、舌の裏側の奥にあるスジ(舌小帯)のすぐ横に体温計の先端を当てて、口をしっかり閉じてください。

安静な状態で測る

体温は行動によって一時的に上昇する場合があります。入浴や運動、食事の直後は体温が高くなりやすいため、正しく測定できないケースが少なくありません。少なくとも30分ほど時間を置いて、体が落ち着いてから測定するのが理想です。

また、測定中に体を動かすと、体温計が正しい位置からずれてしまい、正確な数値が測れないことがあります。測定中は体を動かさず、リラックスした状態でいることが、正しく体温を測るポイントです。

発熱が起きる原因

発熱は、それ自体が病気というわけではありません。体の中にウイルスなどの異物が侵入したり、体内で何らかの異常が起きたりした際に、体を守ろうとして起こる防御反応のひとつです。発熱が起きる背景には、次のような理由があります。

  • 感染症(風邪・インフルエンザなど)による発熱
  • 炎症反応による発熱
  • ストレスや疲労による発熱

それぞれの理由について、見ていきましょう。

感染症(風邪・インフルエンザなど)による発熱

発熱を引き起こす原因のひとつが、ウイルスや細菌といった病原体への感染です。

ウイルスや細菌などの異物が体内に侵入すると、体を守るための免疫システムが働き始めます。免疫細胞が病原体を感知すると、サイトカインという物質が放出され、脳の視床下部(体温を調節する中枢)に伝わることで体温が上がる仕組みです。

急性上気道炎や咽頭炎などの風邪の場合、37.5℃から38.5℃程度の発熱が3日から7日ほど続きます。一方でインフルエンザは、38.5℃を超えるような高熱が突然現れるのが特徴です。強い頭痛のほか、体中の倦怠感や筋肉の痛みを伴い、急激に症状が悪化することも少なくありません。

風邪やインフルエンザのほか、肺炎や髄膜炎(ずいまくえん)、腎盂腎炎(じんうじんえん)、尿路感染症といった他の感染症でも発熱が見られることがあります。これらの病気は、放置すると重篤な状態に陥る可能性があるため、単なる風邪だと自己判断しないように注意が必要です。

炎症反応による発熱

発熱は、ウイルスや細菌といった外からの病原体への反応だけでなく、体内の炎症によって生じることもあります。自己炎症性疾患や膠原病・自己免疫疾患は、免疫の働きが過剰になることで慢性的な炎症が続き、発熱が現れることのある疾患です。

たとえば、体内の炎症を抑える役割を持つパイリンという物質がうまく働かないことで発症する家族性地中海熱では、突然38℃以上の高熱が出て、半日から3日ほど続きます。この発熱は周期的に繰り返され、発熱時には強い腹痛や胸の痛みを伴うこともあるのが特徴です。

このほかにも、ベーチェット病、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスといった膠原病、橋本病やバセドウ病などの甲状腺の自己免疫疾患でも、原因不明の発熱が続くことがあります。このように、熱が長引いたり何度も繰り返したりする場合には、感染症以外の病気が関係していることも珍しくありません。

ストレスや疲労による発熱

急性的、あるいは慢性的に強いストレスを感じることで、心因性発熱と呼ばれる熱が出ることがあります。感染症や自己炎症性疾患などとは異なり、体に炎症反応が起きているわけではないため、医療機関で検査をしても「異常なし」と診断されることがあるのが特徴です。とくに働き盛りの年代に見られ、継続的な負担や心身の疲労が重なるストレス状況下で発症しやすくなります。

主な症状は、37℃から38℃程度の微熱です。ストレスの原因となっている状況が改善されると症状が和らぐこともありますが、問題が解決した後もしばらく症状が続くケースも見られます。

また、風邪などの発熱とはメカニズムが異なるため、解熱鎮痛剤を服用しても熱が下がりにくいことも、心因性発熱の特徴です。

発熱したときの対処法

発熱は体を守るための反応のため、熱を下げることだけが対処法ではありません。体力の消耗を抑え、体が回復するのを手助けする必要があります。具体的には、以下の対処法を心がけましょう。

  • こまめに水分補給をする
  • 消化の良いものを少しずつ摂る
  • 熱の上がり始めは体を温め、汗をかいたら涼しくする
  • 解熱鎮痛剤を使用する
  • 重篤な場合は医療機関を受診する

それぞれの対処法について解説します。

こまめに水分補給をする

発熱すると、汗をかいたり呼吸が速くなったりして、体から水分が失われやすくなります。体内の水分が不足すると脱水症状を起こし、頭痛や倦怠感につながるため、こまめな水分補給は欠かせません。とくに、お子さんや高齢の方は脱水になりやすいため注意が必要です。

発熱しているときは、1日に合計で1.5リットルから2リットルほどの水分を摂ることを心がけましょう。一度にたくさん飲むのではなく、1〜2時間に1回、コップ1杯程度を目安に、少量ずつゆっくりと飲むのが効果的です。

消化の良いものを少しずつ摂る

発熱時は、体のエネルギーが免疫機能に優先的に使われるため、胃腸の働きが弱くなりやすい状態です。消化しやすく栄養をしっかり取れる食事のほうが、体の回復に役立ちます。

主食としておすすめなのが、水分も一緒に補給できるおかゆです。また、良質なタンパク質は免疫機能を維持するために欠かせないため、卵や豆腐などを取り入れるのもよいでしょう。

その一方で、揚げ物や脂の多い肉、食物繊維が多い野菜は消化に時間がかかり、胃腸に負担がかかりやすくなります。体調がすぐれないときは、消化しにくい食品を控えるのが賢明です。

熱の上がり始めは体を温め、汗をかいたら涼しくする

発熱時には、熱の状態に合わせて体温を調節することを意識しましょう。

熱が上がり始めたタイミングで感じる寒気や体の震えは、体が熱をつくろうとしているサインです。この段階では、毛布を一枚足したり、部屋を暖かくしたりして体を温めると、不快な症状を和らげられます。

その後、汗が出て暑さを感じるようになったら、体にこもった熱を外へ逃がす工夫が必要です。衣服を薄手のものに変えたり、室内の温度を下げたりして涼しく過ごせる環境を整えましょう。タオルで包んだ保冷剤を、わきの下や首すじ、足の付け根といった太い血管が通る場所に当てるのも効果的です。

解熱鎮痛剤を使用する

高熱で体がだるくて眠れない、あるいは水分補給がままならないなど、発熱による症状がつらい場合には、解熱鎮痛剤の使用を検討しましょう。

解熱鎮痛剤は市販薬としても購入が可能で、アセトアミノフェンやロキソプロフェン、イブプロフェンなどを配合するものが販売されています。薬を使用する際は、年齢に合わせて記載されている用法・用量を守ることが大切です。もし、持病で他の薬を服用している場合や以前に薬で副作用が出た経験がある方は、使用前に薬剤師に相談してください。

重篤な場合は医療機関を受診する

発熱が続く場合や熱以外の症状が重いときは、医療機関を受診してください。具体的には「38℃以上の高熱がある」「37.5℃前後の熱でも2日以上続く」ケースが受診の目安です。また発熱に加えて、強い倦怠感や咳、のどの痛み、吐き気といった症状がある場合も受診を検討しましょう。

とくに、高齢の方やお子さん、基礎疾患のある方は重症化しやすいため、早めに医師に相談することが大切です。

まとめ

発熱は37.5℃以上が目安とされていますが、平熱を基準に体調の変化を捉えることも大切です。そのためには、毎回同じ部位で、安静時に測るといった適切な体温の測り方を身につける必要があります。

発熱した際の基本的な対処法は、十分な水分補給と安静にすることです。高熱でつらい場合は解熱鎮痛剤の使用も有効ですが、症状が長引いたり、他に気になる症状が現れたりした際には、医療機関を受診しましょう。

発熱で受診を検討している方は「ベストチョイス」で医療機関を探してみてください。地域ごとにクリニックを紹介しており、診療内容や特色、アクセス情報などの基本情報をまとめて確認できます。

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ベストチョイス編集部
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